2023/02/27 16:10
「皮膚」の構造
犬の皮膚も、人と同様、外側から表皮、真皮、皮下組織の3層からできています。そして表皮の一番外側が角質層です。
人は被毛に覆われていない代わりに厚くて丈夫な表皮を持っていますが、犬の表皮は人の1/5~1/6程度の厚さしかありません。
人と犬では、皮膚に分布する汗腺にも違いがあります。
汗腺には「エクリン汗腺」と「アポクリン汗腺」の2種類があり、人ではわきの下などにしかない「アポクリン汗腺」が、犬では全身に分布しています。アポクリン汗腺は脂肪分の多いベタっとした汗を分泌します。
この汗が酸化したり、細菌に分解されると、犬特有のニオイを発する原因になります。
pH(ペーハー)の違い
また、犬はヒトに比べると皮膚表面の細菌感染症(膿皮症)を起こしやすいとされていますが、その一つの理由としても皮膚のpHが考慮されています。
犬の皮膚はヒトの皮膚よりもpHがややアルカリ側にあるため、皮膚表面の菌の増殖を抑制しにくいことが、膿皮症を発症させやすくしているとも考えられています。
※人の肌のpHは約5.5の弱酸性ですが、犬はpH7.5の中性です。
人のターンオーバーは28日、では犬は?
皮膚は一定の周期で新しく生まれ変わっています。表皮の一番下にある基底層で作られた細胞は、成長に伴って徐々に皮膚の表面へと押し上げられていき、表皮の一番外側にある角質層まで移動すると、フケとなってはがれ落ちていきます。このように新たに表皮細胞が作られ、それが皮膚表面から脱落するまでの過程をターンオーバー(新陳代謝)といいます。
通常、健康な人の皮膚ターンオーバーは28日サイクル(加齢とともに周期が長くなっていきます。)ですが、犬の場合は約20日ほどです。
<ポイント>
①
犬の角質層は人の1/5~1/6程度の厚さ。
②
人ではわきの下などにしかない「アポクリン汗腺」が、犬では全身に分布。
③
pHがややアルカリ側にあるため、皮膚表面の菌の増殖を抑制しにくい。
※このことから、人間の脇の下の様な皮膚が全体だと考えるとわかりやすく、シャンプーをアルカリ寄りに設定する執拗もないと考えられます。